仮定法の基本・作り方・意味を全て解説! 仮定法過去・仮定法過去完了・仮定法未来

仮定法(かていほう)現実とは異なる実現可能性の低い”もしも”の状況を表します。下の例文2つを見てください。どちらも”もしも”の話ですが、実現可能性が大きく違うのが分かります。

  1. 小学生「お金持ちだったら豪邸に住めるのにな〜」(仮定法)
  2. 経営者「お金がもう少し溜まったら豪邸に住もうと思う」(直説法)

1つ目と2つ目の例文の実現可能性は明らかに違いますね。小学生が言う「豪邸に住みたい」とお金持ちの経営者が言う「豪邸に住みたい」のうち実現可能性が高いのは間違いなく経営者の方です。

この2つのうち、1番の文が仮定法と言われる文です。実現する可能性の低い内容を語るときに使うのが仮定法。現実に即した実現性のある内容を語るときに使うのが直説法です。

  • 直説法:実現可能性がある
  • 仮定法:実現可能性がない
化け猫
現実とは異なることを言う時に仮定法を使うニャ〜

仮定法の文は現実ではないので、常に「でも実際はそうじゃない」で終わります。日本語で言う反語のようなものですね。

  • 小学生「お金持ちだったら豪邸に住めるのにな〜(でも実際はお金持ちじゃないからそんなことできない)」

この実現可能性の低さというのが仮定法の根幹にある考え方なので、この点を押さえた上で、仮定法の作り方や用法をみていきましょう。

1.大前提ーIfを使った文のすべてが仮定法ではない

ifもし〜ならから始まる文のすべてが、実現性の低い仮定法ではなく、ifが直説法と一緒に使われることもあります。 下の文2つをみてください。

  • 直説法:If they are rich, they will live in Paris. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。
  • 仮定法:If they were rich, they would live in Paris. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。

1つ目の文が実現可能性のある直説法で、2つ目の文が実現可能性の低い仮定法です。日本語にするとどちらも同じですが、実現可能性では大きく異なります。

では、どのようにして直説法と仮定法を見分けるのか。それは動詞の時制です。どちらの例文も現在の時制を表しているのに、2つ目の仮定法を使った例文は動詞の時制が過去形になっています。

これが仮定法の作り方の肝なのです。

2.仮定法の作り方

  • If they were rich, they would live in Paris. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。

仮定法のもっとも基本的な時制、仮定法過去は2つのパートから作られます。

If + 主語 + 過去形, 主語 + would/could/might/should + 動詞の原形
条件節, 帰結節

If + 主語 + 過去形のパートを条件節主語 + would/could/might/should + 動詞の原形のパートを帰結節といいます。

  • 条件節では過去形を使う。
  • 帰結節ではwould/could/might/shouldの後に動詞の原形を置く。

条件節では動詞を過去形にし、帰結節ではwould/could/might/shouldの後に動詞の原形を置くのが仮定法過去の基本的なルールです。

  • If they were rich, they would live in Paris. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。

この例文でもIfから始まる条件節では過去形帰結節ではwouldが使われていますね。

条件節と帰結節は「もしもの状況」と「もしもの状況での動作」を表します。

  • 条件節:もしもの状況
  • 帰結節:もしもの状況での動作

上の例文だと、

  • もしもの状況:お金持ちだったら
  • もしもの状況での動作:パリに住む

というようになります。

2-1.条件節と帰結節の順番が逆のパターン

  • If they were rich, they would live in Paris. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。
  • They would live in Paris if they were rich. もし彼らがお金持ちだったら、パリに住むだろう。

日本語ではもし〜なら、〜だろうのように、常に条件節, 帰結節の順番で文が書かれますが、英語では順番を入れ替えることができます。

上の例文2つは同じ意味の例文ですが、条件節と帰結節が逆になっているのが分かりますね。

  1. 条件節, 帰結節
  2. 帰結節 条件節

このときに気をつけるのは、「カンマ」の有無です。1つ目のパターンでは条件節と帰結節の間にカンマを必ず置きますが、順番を入れ替えるとカンマを使いません。

3.いろいろな仮定法のパターン

  • If I lived in Japan, I would eat sushi everyday.
  • If I had a brother, I could play tennis with him.
  • I wish I had a brother.
  • He talks as if he was a teacher.
  • Without your support, I couldn’t finish my homework.
  • If I were to live in Tokyo, I would go up the Tokyo Tower everyday.
  • If it should rain next Sunday, the game would be postponed.

3-1.would/could/might/should

  • If I lived in Japan, I would eat sushi everyday. もし日本に住んでいるなら、毎日寿司を食べるだろう。
  • If I had a brother, I could play tennis with him. もし兄弟がいたら、テニスが一緒にできるのに。

帰結節に置かれる助動詞はwouldの他にもcould/might/shouldがあります。2つ目の文ではcould〜できるのにが使われていますね。

基本的に使われる助動詞はwouldですが、文意によって他の助動詞を使う場合もあるので、覚えておきましょう。

3-2.wishを使った仮定法

I wish I had a brother. 私は兄がほしかった。

主語 + wish + 主語 + 過去形

この構文で〜だったという願望を表すことができます。この文も仮定法なので、動詞の時制を過去形にします。wishの形は現在形のままです。

as if「まるで〜のように」

He talks as if he was a teacher. 彼はまるで先生のように話す。

as if + 動詞の過去形

以上の構文でまるで〜のようにを表します。

3-3.ifを使わない仮定法

Without your support, I couldn’t finish my homework. あなたのサポートなしでは、この宿題を終えることはできないだろう。

without〜なしではのような前置詞からはじまる文が条件節の代わりになる場合があります。

このようにifを使わない仮定法も存在します。ifがない場合は帰結節で助動詞の過去形が使われていないか確認してみましょう。

例文のように助動詞の過去形が使われている場合は仮定法です。

4.仮定法過去完了

  • If I had had much more money, I would have traveled around. もしもっとお金があったら、したのに。
  • If you had worked hard, you could have finished it. もしもっと熱心に働いていれば、終わらせられたのに。

これまでに解説してきた仮定法過去は、現在の非現実を表す用法です。ここで見ていく仮定法過去完了は過去の非現実を表す用法です。

  • あのとき〜していれば〜だった
  • あのとき〜してくれれば〜だったのに

後悔非難をするときに使われる表現で、日常でも使う場面が多いので覚えておきましょう。

If + 主語 + had + 過去分詞, 主語 + would/could/might/should + have + 過去分詞
条件節 帰結節

5.なぜ過去形なのか?

仮定法過去という名前ですが、あくまでも現在の事実とは異なることを仮定する用法です。仮定法過去の過去に引っ張られて過去のことだと勘違いしないように注意しましょう。

そもそもなぜ現在に関することなのに仮定法過去だと過去形を使うのでしょうか?

過去とは現在ではない時間、現在から離れた時間です。したがって、過去形は現在から離れた時間を表します。この現在から離れていることがポイントで、仮定法過去が言及する時は現在のことでありながら、仮定法過去で示される内容は現在の事実とは異なる(=離れている)わけです。現在から離れているので、仮定法過去と言うように現在のことでも過去形を使用します。

同様に、仮定法過去完了も過去のことに言及しておきながら、実際の内容は過去の事実とは異なります(=離れています)。したがって、過去から離れた過去完了を用いるのです。

  • 仮定法過去:現在から離れている→過去形
  • 仮定法過去完了:過去から離れている→過去完了形

6.仮定法未来

ここまで現在に対する仮定(仮定法過去)、過去に対する仮定(仮定法過去完了)について解説してきました。ここからは未来に対する仮定(仮定法未来)について説明します。

未来に対する仮定(仮定法未来)には2つの表現方法があります。

6-1.were to

  • If I were to live in Tokyo, I would go up the Tokyo Tower everyday. 仮に東京に住んでいたなら、私は毎日東京タワーにのぼっているだろう。

were to 仮に〜であればを用いる場合、実現可能性は問わず、純粋な未来の仮定を表現する際に用います。例えば、例文では東京に住む可能性は問題ではなく、今後東京に住むという仮定をしたら毎日東京タワーにのぼっていそうだ空想しているようなイメージです。

If + 主語 + were to + 動詞の原形, 主語 + would/could/might/should + 動詞の原形

6-2.should

  • If it should rain next Sunday, the game would be postponed. 万一明日雨が降ったならば、試合は延期されるだろう。

should 万一〜ならばを用いると、可能性としては0ではないが実現しなさそうだというニュアンスになります。全く起こり得ないことには使えません。

If + 主語 + should + 動詞の原形, 主語 + would/could/might/should + 動詞の原形
  • If he shouldn’t come here, I will play in a game instead of him. 万一彼がここに来なかったら、私が彼の代わりに試合に出ます。
  • If you should fail, call me. 万一失敗したら、私に電話してくれ。

またshouldを用いた仮定法未来では、帰結節の助動詞が現在形になったり、帰結節自体が命令文になることがあります。

If + 主語 + should + 動詞の原形, 主語 + 助動詞の現在形 + 動詞の原形
If + 主語 + should + 動詞の原形, 命令文