受験生の大半が使用する過去問。しかし「多くの人が過去問の使い方を間違えているのではないか」と思うことがあります。
その間違った使い方とは過去問を腕試しのように使うことです。
私自身現役の頃は本番の入試直前に何度か解くだけで、過去問を有効活用できているとは言えませんでした。
過去問は「どのように合格点を取るか」といった作戦を立てるために使うものであって、「合格できるかどうか」を判定するための道具ではないのです。
是非みなさんが過去問を有効活用できるよう正しい過去問の使い方を解説していきます。
1.間違った過去問の使い方
冒頭でも書きましたが、間違った過去問の使い方とは腕試しのように過去問を使うことです。
本番直前になってから過去問を解き、採点をして「あー、合格しなさそう。もうダメだ」という使い方では何の勉強にもなりません。
「ただ解いて終わり」にならないように正しい過去問の使い方を身に付けましょう。
2.正しい過去問の使い方
正しい過去問の使い方は以下の4点です。
- 合格点を取るために「どの問題を取ってどの問題を捨てるのか」を考える。
- 今の自分に足りない部分を見極める。
- 単語帳には載っていない単語を学ぶ。
- ワンランク下の大学の過去問で実際の入試問題に強くなる。
一つずつ見ていきましょう。
2-1.どのように合格点を取るかを考える
過去問を使う上で最も意識するべきポイントです。入試では必ずしも満点を取る必要はありません。必要なのは合格点を取ることです。
当たり前のことかもしれませんが、実際に合格点を意識しているかどうかは試験での時間配分や本番までの勉強内容にも大きく関わってきます。
例えば、難しい問題にばかり時間を使わずに易しい問題を確実に取っていくようにしたり、毎年出る苦手分野を本番までに克服できるように勉強したり、と試験当日の作戦や試験までの勉強スケジュールを考えることができます。
だから、合格点をどのように取るのかを考えていきましょう。
合格点は大体7割くらいです。ただ受ける大学、学部学科、入試制度によって変わるので、もし事前にある程度合格点を調べられるのであれば調べておきましょう。
合格点がわかったら「本番の入試でその合格点をどのように取るか」を考えます。
同じ大学の同じ学部学科の入試問題でも、難易度は設問によってバラバラであることが多々あります。例えば、大問1と2は易しいが、大問3は普通、大問4と5は難しめ、といった構成の入試問題だったりします。
こうした難易度構成の場合、易しい大問1と2は確実に正解しておきたいですよね。いくつか間違えるにしても大問3もできるだけ正解したいところです。大問4と5はある程度わからない問題が出ても心配せず、一つでも正解できたらラッキーくらいの気持ちでいきましょう。
このように「どの問題で正解して、どの問題を捨てるのか」を考えておくと、上手な時間配分や当日の気持ちのコントロールができるようになります。
また入試本番までまだ時間があるのなら、現時点では捨て問であっても今後の勉強次第では捨て問ではなくなるかもしれません。「今解けないレベル、あるいは今解けない分野を本番までにどのように克服していくか」といった自分の課題を過去問から発見し、本番までの勉強に活かすことができるのです。
2-2.今の自分に足りない部分を見極める
「どのように合格点を取るかを考える」の項目でも同じようなことを書きましたが、過去問は今の自分に足りない部分を見極めるのにも使えます。
例えば時間内に解き終わらないというのはよくあることです。なぜなら普通の問題集には時間制限がないため、普段から時間を意識して解いている人は少ないからです。
だから、いざ時間を計って解く過去問に取り組んでみると時間が厳しくなってきます。
この時間配分をどうするか、というのも入試では重要な課題です。
「文法問題を深く考えなくても解けるようにする」「長文読解のスピードを上げる。そのためには普段から時間を計って読むようにする。あるいは語彙力を上げる」など様々な課題や苦手分野を見つけ、それらを入試本番までに解決していきましょう。
2-3.単語帳には載っていない単語を知る
過去問を解いていると単語帳では見たことがない単語に出会うことがあります。
「単語帳に載っていないから覚えなくていいんだ」と暗記することを放棄せず、しっかりその都度覚えていきましょう。
受験生の多くは単語帳を使って英単語を暗記していると思います。もちろんそれはそれで大切な勉強ですが、単語帳だけで十分とは言えません。
なぜなら単語帳に収録されていなくても入試の長文ではよく出る英単語もあるからです。
こういう英単語の暗記に関する事柄として、「単語をそれほど覚えなくても、文脈から推測すれば良い」という話を耳にすることがあります。私個人はこの意見に反対です。
単語はできるだけ覚えてしまった方が良いでしょう。もちろんあまりにもマニアックすぎる単語は不要ですが、市販の単語帳に載っているような単語、さらに単語帳には載っていなくてもよく過去問を解いていると目にする単語についてはどんどん覚えていくべきです。
それは結局推測している時間が無駄だからです。暗記していれば推測なんかしなくとも一瞬で意味がわかります。これが何重にも積み重なれば大幅な時間短縮となります。
ですから私は「知らない単語は全部覚える」くらいの気持ちで取り組むことをおすすめします。
2-4.ワンランク下の大学の過去問を解く
「いきなり第一志望の過去問を解こうにも実力が足りなくて解けない」「いろいろな問題集をやってきたから、そろそろ総合的な演習や本番に合わせた演習をしたい」といった人は、入試の演習として第一志望よりワンランク下の大学の過去問をやることを強くおすすめします。
過去問は普通の問題集とは異なり実際に入試で出た問題です。したがって、どんな問題集よりも実戦的と言えるでしょう。
また、過去問には時間制限があります。入試では「時間があれば解けるのにな〜」は許されません。時間内に解く能力もまた求められるのです。
加えて、英語で言えば文法だけでなく長文読解まで問題形式は様々です。だから総合演習になるのです。受験ではいろいろな分野から出題されます。
自分の苦手な分野を知る良い機会になるので是非総合演習としてワンランク下の大学の過去問に取り組みましょう。
3.まとめ
- 合格点を取るために「どの問題を取ってどの問題を捨てるのか」を考える。
- 今の自分に足りない部分を見極める。
- 単語帳には載っていない単語を学ぶ。
- ワンランク下の大学の過去問で実際の入試問題に強くなる。
今回は過去問の正しい使い方として以上の4点について解説しました。「過去問は腕試しのためにあるんじゃない」と肝に命じて、できるだけ早い時期に過去問を解き、勉強スケジュールや本番の作戦を考えましょう。