受動態(じゅどうたい)は〜されるという意味を持つ文のスタイルです。
- 私はトムに呼ばれた。
- 彼女は猫に引っ掻かれた。
- フランス語はフランスで話されている。
日本語でも2種類の態があるように、
- 〜する:能動態
- 〜される:受動態
英語にも能動態(のうどうたい)と受動態という2つの態(スタイル)があります。下の2つの文を見てください。
- Tom built this house. トムがこの家を建てた。(能動態)
- This house was built by Tom. この家はトムによって建てられた。(受動態)
2つの文で起こったできごとは同じです。違うのは、
- トムがこの家を建てた
- この家がトムによって建てられた
という言い方=スタイルの違いですね。2つの文を見比べると「主語」が違います。このページでは受動態の作り方やその用法を解説していきます。
1.受動態の作り方
- This book is written by Tom. この本はトムによって書かれている。
- This book is written in English. この本は英語で書かれている。
- This house was built by Hanako. この家は花子によって建てられた。
- These books are sold. これらの本は売り切れた。
1-1.受動態の文はbe動詞 + 過去分詞 + byで作られる
- This book is written by Tom. この本はトムによって書かれている。
受動態〜されるは基本的に、「be動詞 + 過去分詞 + 前置詞by」の組み合わせで作られます(ただしこれは絶対ではありません)。
受動態を作るには動詞の過去分詞という形を知っておかなくてはいけません。上の例文だと動詞write〜を書くの過去分詞がwrittenですね。
過去分詞の作り方については以下の記事で解説したので、もし過去分詞がわからない場合はそちらを参考にしてください。
現在分詞と過去分詞の作り方をパターンに分けてわかりやすく解説!
1-2.受動態は前置詞byがつかない場合もある
- This book is written in English. この本は英語で書かれている。
- These books are sold. これらの本は売り切れた。
受動態は〜されるを意味しますが、”誰に”〜されるかの”誰に”の部分は普通、前置詞byのあとに続きます。
ただし、必ずしも受動態の文で”誰に”の部分が必要かというと、そうではありません。上2つの例文はどちらも前置詞byが付いていないタイプの受動態です。
2.能動態から受動態の作り方
- Many people speak English. たくさんの人が英語を話す。(能動態)
- English is spoken by many people. 英語はたくさんの人に話されている。(受動態)
能動態から受動態の基本的な作り方は、主語と目的語を入れ替えることです。上の例文をシンプルに表すと次のようになります。
- A speak B. AはBを話す(能動態)
- B is spoken by A. BはAによって話される(受動態)
能動態から受動態へスタイルを変える時には、
- 主語と目的語の位置を入れ替えて、
- be動詞をプラスして、
- 動詞を過去分詞に変えて、
- 前置詞byをプラスします。
解説だけ読むと少し難しく感じますが、何回か能動態から受動態に変える練習をすればすぐに変換できるようになります。
- 能動態の目的語 + be動詞 + 過去分詞 + by + 能動態の主語
もう一つ、能動態から受動態へ変える例文を見ていきましょう。
- He writes this book. 彼はこの本を書いている。(能動態)
- This book is written by him. この本は彼によって書かれている。(受動態)
この例文のペアも能動態から受動態に変える時のルール通りに作られていますね。主語と目的語の位置が入れ替わって、be動詞が加えられて、動詞が過去分詞に変わり、前置詞byがつけられています。
3.受動態のいろいろな形
ここまで見てきたのはシンプルな、
- This book is written by Tom. この本はトムによって書かれている。
のような受動態でしたが、ここからは助動詞が入っている受動態や進行形の受動態の形など、ひとつひとつのケースを見ていきます。
3-1.助動詞
- This homework is finished today. その宿題は今日終わる。
- This homework must be finished today. その宿題は今日終わらせなければなりません。
受動態では助動詞を用いることもできます。must〜しなくてはいけない can〜かもしれないなどの助動詞がつくことで文の意味を変えることができますね。
助動詞を含んだ受動態の語順は助動詞+be動詞+過去分詞です。
3-2.進行形
- The bridge was built last year. その橋は去年建設された。
- The bridge is being built now. その橋は現在建設中です。
〜している最中だを意味する進行形も受動態にすることができます。
進行形を含んだ受動態はbe動詞 + being + 過去分詞という語順になります。
3-3.完了形
- His key has been lost for two days. 彼の鍵がなくなって2日になる。
今から見て過去に起きた行為が現在まで続いている状態を表す現在完了形と受動態を組合わせる時は、have/has/had been + 過去分詞という組み合わせになります。
3-4.否定文
- This house is not built by him. この家は彼によって建てられたのではない。
- These books are not sold at the bookstore. それらの本はその本屋では売っていない。
受動態の否定文はbe動詞 + not + 過去分詞の語順になります。
- The problem can’t be solved. その問題は解決できない。
ただし、助動詞を用いている場合の否定文は助動詞 + not + be + 過去分詞の語順となるので注意が必要です。
3-5.疑問文
①Yes/No疑問文- Is French spoken in Canada? カナダではフランス語は話されますか。
受動態のYes/No疑問文はbe動詞 + 主語 + 過去分詞となります。
②疑問詞を使った疑問文- Who was arrested? 誰が逮捕されたのですか。
疑問詞が主語になる場合は、疑問詞 + be動詞 + 過去分詞という語順にします。
- When was this house built? この家はいつ建てられたのですか。
また疑問副詞が使われる場合は、疑問詞 + be動詞 + 主語 + 過去分詞となります。
今回はbyを用いて動作主を表す基本的な受動態がメインでしたが、受動態にはby以外の前置詞を使うものもあります。以下の記事で解説したので参考にしてください。