今回は浪人について書いていきます。
最初に浪人の現実を書くと、それはもう厳しいものです。少なくとも私にはそう感じました。
予備校などで「○○大コース」みたいなものがあると思います。予備校で浪人するとそういった何かしらのコースに所属して授業を受けるわけですが、この「○○大コース」から○○大、あるいは○○大に近いレベルの大学に受かる人は、そのコース全体の2割以下です。2割行けばかなり成績が良かった年でしょう。
この2割という数字は私が現役の時に通っていた塾の講師から聞いた話でしたが、実際に浪人生活を終えてみると講師の話は本当だったとわかりました。
だからと言って落ち込まないでください。なぜこれほど低い数字になるのか、実際に浪人してきた私にはその理由がわかりました。これについては後で説明するとして、まずは私の1年間のスケジュールを書いていきます。
3月17日〜4月中旬
今でも覚えていますが、私は3月17日から勉強を始めました。駿台に入ったのですが、駿台では浪人生用の授業が始まる前でも自習室が空いているので自由に使用することができます。駿台に入ることを確約しなくても無料自習室利用券がもらえたので、お試しで自習室の様子などを見学がてら勉強することができます。
この時期の予備校ですが、驚くほど空いています。「予備校の自習室は席取りが大変」と思うかもしれませんが、この時期ではほとんど人がいません。正直、「社員やチューター、警備員の方が生徒よりも多いのでは?」と思うくらいです。
人によってはこの時期には勉強しないのではないでしょうか? 予備校の閑散ぶりを見ても、多くの人が勉強していないと思います。しかし私はこの時期をもっと大切に扱うべきだと考えています。
それは授業が始まると自分の勉強ができなくなるからです。4月中旬になるといよいよ予備校の授業が始まり、基本的には授業の予習と復習で手一杯になってしまうでしょう。すると苦手な部分や強化しておきたい部分をやっている暇はなく、予備校の授業に専念するしかありません。当然、予備校は一人一人に合わせてやってくれるわけがありませんから、場合によっては授業についていけないでしょう。
したがって、予備校の授業が始まる前に現役の頃に使用した参考書、問題集を復習し、自分の気になる分野の補強をしたり、授業に向けて基礎を固めたりしましょう。
1ヶ月ほど時間があると思いますが、この時期だけでもたくさん勉強ができます。私は英語を重点的にやったので、英語の参考書、問題集を3冊ほど3週繰り返すことができました。予備校にいた時間は9:00〜15:00または16:00です。帰宅後はほどほどに勉強して寝ました。さすがにこの時期に勉強しすぎて燃え尽きてしまうのはまずいので苦にならない程度に勉強しましょう。
4月中旬〜7月初旬
授業が始まる頃になると予備校がたくさんの人で埋め尽くされるようになりますが、あまり気にせず淡々と勉強していきましょう。
最初の頃は主にブースで勉強し、途中からは大教室で自習するようにしました。入試では大教室など、知らない人達に囲まれた中で問題を解くことになるので、できるだけ早く慣れておくべきでしょう。
授業が始まった頃は予習と復習で日々の生活が終わると思います。それで構いません。とにかく最初のうちは丁寧に授業を受けていきましょう。授業を聞いて少しでも疑問に思ったことや気になったことがあれば、参考書で調べるなり講師に質問するなりしてください。その日のうちに全て解決することが重要です。
また私は授業中の疑問とその解決内容をノートにメモしておきました。まとめノートは賛否両論ですが、個人的には作って良かったと思います。ただし、まとめるだけで満足してはいけません。何度も読み直して内容を暗記するようにしましょう。
そもそも私がこのようなまとめノートを作ったのは、何度もその項目に触れていくことで覚えるような暗記の仕方をしていたからです。
「覚えるぞ!」と意気込んで暗記することができず、覚えるのにかなり時間を要するタイプの人間でした。「早く覚えなければ!」とプレッシャーを感じれば感じるほど覚えられなくなるので、いっそのこと「そのうち覚えられたらいいな」くらいの気持ちで毎日目を通すことにしました。
そういうわけで重要事項をノートにまとめ、それを繰り返し読むことで暗記していたのです。重要事項を読む度にいちいち参考書、問題集、授業のテキストを探し回っていたのでは時間がかかって仕方ありませんからね。
ただし、ノートを綺麗に作らなければ気が済まない方や一度気合を入れて暗記すれば忘れないという方にはおすすめしません。時間の無駄です。
この時期が私の浪人生活の中で最も勉強し、最も身になった時期だったと思います。9:00前には予備校に入り、16:00過ぎに予備校を出て、帰宅後は風呂に入るなどいつにでも寝れるように支度をした後、18:00に夕食を済ませ夜中の1時過ぎまで勉強していました。
本当はもう少し早く寝た方がよいと思っていましたので、できれば1:00前には寝たかったのですが、授業の予習と復習に加えて、自分の勉強もやっていたので大変なことになりました。
過酷な生活をしていたため、前期の最後の方で突然気持ち悪くなり授業を受けるのをやめて早退しました。こうならないように体調管理に気をつけてほしいですが、そうは言っても私は本当に勉強ができないのがわかっていたので身体を壊す覚悟でやっていました。特に多くの大学で配点が高い英語ができなかったので英語を徹底的にやっていました。正直なことを言うと、予備校の授業を受けているだけでは私は確実に合格できないと感じていたのです。
とにかくたくさん勉強してください。この時期は質より量です。まだ体力が残っている分、勉強時間だけなら稼げるはずです。そして勉強を繰り返す中で、自分に合った勉強法を確立しましょう。
余談ですが、5月あたりになるとSNSに現役で合格した人達の楽しげな写真がたくさんUPされるようになります。私はSNSをやっていませんでしたし、あまり旅行や大勢でワイワイすることが好きではないので特に何とも思っていなかったのですが、一緒に浪人していた友達の一人は苦しそうでした。他人の幸福を羨みがちな人はSNSをやめましょう。
7月初旬〜9月初旬
いよいよ夏期講習期間です。
この時期に私は無駄に難しい問題を解いて失敗しました。夏期講習期間が終わるまでは前期の復習を含めた基礎を徹底することをおすすめします。基礎を完璧にすることで後期以降に飛躍的に伸びます。模試などの成績に反映されなくても明らかに力がついていることが実感できるようになるはずです。
とにかくまずは基礎を完璧にすることを意識していきましょう。
夏期講習は取っても取らなくても良いでしょう。ただ授業がないと予備校に行く気が起きない、勉強しないという人は授業を取りましょう。また自分の弱点が明確でそれを補強できる授業があるのならそれもおすすめです。
やってはいけないのが自分のレベルに適さない難易度の高い授業を取ることです。夏期講習期間は基礎を固める時期です。これを意識するのとしないとでは大きな差が生まれてしまいます。もし○○大長文読解のような、実際の入試レベルの授業を受けたいのであれば、「○○大コース」の人はその○○大よりも1ランクほど落としたレベルの授業を受けましょう。
私はこの時期が一番精神的にしんどかったです。元々ない体重が3kg減りました。ご飯がまともに食べられなくなったのです。おにぎりを口に入れても、えづいて吐きそうになりました。何とか口の中のご飯をお茶でほぐして飲み込んだり、ゼリーで腹を膨らませたりしましたが、本当に辛かったです。
こういう時期が来ると勉強の効率がガクッと落ちるので、そうなる前にしっかり勉強をしておきましょう。そういうわけで私は3月から勉強を始めることをおすすめします。
9月初旬〜センター試験まで
急に期間が広くなり雑になったと思われたでしょうか? 夏期講習期間が終わるとどんどん時間が過ぎていくように感じます。あっという間にセンター試験です。
9月以降は志望校の傾向に合わせて英文解釈を書き込まない読解方法を訓練し始めました。これには理由があります。
9月8日に自転車に乗っている際に転倒し、利き腕である右腕を骨折してしまいました。しかもその日は模試だったのですが、自分の名前を書くことさえまともにできず結果は悲惨でした。志望校判定で一つだけ何とかマークしたのですが、なぜかマークミスで何も志望校が書かれていませんでした。
とまあこんな感じでペンを持たない勉強法に変えざるを得ず、そのやり方が先ほど書いた英文解釈を書き込まない読解方法だったわけです。
ただこのおかげで英文解釈を書き込まない分、スピーディーに長文が読めるようになりました。まさに怪我の功名ということでしょうが、腕が折れて良かったです。
こうして9月は英文解釈を書き込まない方法で長文問題集をたくさん解きました。
解き終えた後は丸付けだけでなく、わからなかった英文もチェックしていました。英文解釈を書き込まないと言っても、英文解釈を無視して良いわけではありません。自分の中に多くの英文の構造を蓄えることで読解がスムーズになるので、わからなかった英文はしっかり解決しておきましょう。
10月は9月にやった長文問題集を繰り返し解きながら、過去問を解き始めました。ここでの過去問は「○○大コース」の○○大より一つランクを落とした大学のものです。これを丁寧に解いていくことで実戦的な力がつきます。これまでの基礎が開花する時です。もちろん過去問も復習をしっかりやりましょう。
12月からはいよいよ第一志望の問題を解きました。「問題が多すぎて時間が足りない」「難しい」など課題は山積みでした。
私は私立専願だったのであまりセンター試験に力を入れませんでしたが、12月の終わりくらいにはセンター対策を始めていました。
センター試験〜浪人終了
センター試験の結果は全然駄目でした。正直凹みましたが、いずれにせよセンター試験では第一志望の合格を取ることはできないので気持ちを切り替えて、再び第一志望の過去問を解くことにしました。やはり合格点である7割には届かないわけです。そこでどうすれば合格点を取れるのかを考えました。
具体的には「どの問題で点数を取り、どの問題を落とすか」を考え、点数の取り方の計画を練りました。これにより難しい問題は時間をかけずにサッと解き、易しめの問題はじっくり解いて確実に点数を取る、というメリハリのある解き方を身に付けることができました。
そして私立大学の一般試験が始まります。試験ではこれまでやってきたことをそのまま答案に反映させるだけだと考え、冷静に試験を終えることができました。現役の頃はどこにも受かっていなかったので合格発表を見る時は非常に緊張しましたが、無事合格していた時は手が震えました。
ただ結果的には第一志望には二次試験で落ちてしまい、別のところに進むことになりました。その二次試験に落ちたのは残念でしたが、あまり悔いはありません。正直、私には対策のしようがないものだったので。それよりも第一志望の一次試験で私の対策が功を奏したことの方が嬉しかったですね。
ようやく浪人を終えて私はホッとしました。完全に力が抜けました。
浪人を経験して今言えること
長くなりましたが私の浪人生活はこのような感じでした。やはり夏期講習期間が一番精神的にきつかったですね。辛い時期には友人に会ってご飯でも食べに行くと良いでしょう。気分転換が大切です。私の友人は夏期講習期間中に旅行し日焼けして帰ってきました。
それから第一志望に落ちたことですが、今考えてみれば現在のところに入学してよかったと感じます。当時よりも現在の方が視野が広くなっているので、昔の私にはピンとこなかった現在の場所の価値がわかります。
私は高校の5月まで理系だったのですが、もしタイムトラベルして理系の私に大学の専攻内容を伝えたら、絶対に信じてもらえないでしょう。それほど最初の志望からかけ離れた専攻内容でありながら、私の選択は間違っていませんでした。
結局どの学問をやっても世界に関わっていると私は感じています。ただ見方、関わり方が変わるだけです。ですから第一志望でなくともあまり落ち込まないようにしましょう。それよりも1年間頑張った自分を誇りに思ってください。
模試について
私はマーク模試、記述模試を受けていましたが、成績は大して良くなかったですね。全然伸びなくて何日か寝込んだこともあったのですが時間の無駄でした。個人的には模試の成績は気にする必要がないと思います。ただしセンター試験対策のためならマーク模試は無視できません。
やはり問題の傾向が志望校と異なりすぎているのが気にする必要がないと書いた理由です。だから模試で点数が悪くても過去問を分析していれば合格しますし、模試で好成績を収めていても過去問の分析を怠れば残念ながら不合格になってしまうこともあるのです。
模試の成績が悪かった人は焦らず間違えたところを復習し、その後は気にせずいつもの勉強に戻りましょう。ちゃんと勉強すれば模試の結果ではなく受験の結果は自ずと出るので、とにかく冷静に淡々と自分の進度や弱点を考察しながら勉強を続けてください。
模試の成績が良かった人もそうでなかった人も大事なのは模試の結果ではなく合格することです。そのために過去問の分析を丁寧にやっていきましょう。
なぜ浪人生は成績が伸びないと言われるのか?
さて、最初に書いた、「『○○大コース』から○○大、あるいは○○大に近いレベルの大学に受かる人は、そのコース全体の2割以下」ということですが、これは多くの浪人生が勉強をしないからです。
3月中は予備校に浪人生がほとんどいません。また夏期講習期間あたりまではそれほど本気で勉強をしている方はあまり見られませんでした。一応予備校には来ているのですが、休憩室での友人との会話に多くの時間を費やしていたり、授業だけ受けて帰ったりと、効率とか質の話をする以前に勉強時間が圧倒的に足りていない人が多かったです。
実際、勉強している方は伸びています。私の友達は皆よく勉強していたので難関大学に合格しました。浪人しても伸びないと言われることがありますが、それは単に勉強していないだけで勉強すれば嫌でも伸びます。だから余計な噂は気にせず勉強に集中しましょう。
最後になりますが、浪人は大変です。体力的にも精神的にも厳しいでしょう。しかし最後までやり通した時、その結果に関わらず自信がつきます。「自分はここまで頑張ることができるのか」と自分自身に驚くことでしょう。
これから浪人する人、そして現在浪人中の人は挫けずに最後まで頑張ってください。陰ながら応援しています。