英語を勉強していると当たり前のように出てくる否定の表現ですが、否定と一口に言っても様々な否定の表現があります。今回はnot・never・no・準否定・部分否定・全否定・二重否定といった否定の表現をまとめて解説します。
1.not
notは一番よく見かける否定語と言えるでしょう。notには大きく分けて、文全体を否定する場合と文の一部を否定する場合があります。
1-1.動詞の否定=文全体の否定
notは動詞を否定することで、文全体を否定することができます。
notの位置とそれに対応する例文は以下の通りです。
- I’m not a teacher. 私は先生ではない。
- I don’t play tennis. 私はテニスをしない。
- I can’t swim. 私は泳げない。
1-2.語・句・節の否定=文の一部の否定
文全体を否定するのではなく、語・句・節といった文の一部を否定することも可能です。この場合、notは否定するものの直前に置かれます。
- I promised not to play the guitar at home. 私は家でギターを弾かないと約束した。
例文では、notが不定詞to play the guitar at homeを否定しています。
2.never
neverは決して〜ないという意味で、notよりも強い否定を表し、1度きりのことの否定ではなく一定期間否定の状態が続く場合に用いられます。完了形と一緒に使われることが多いのはそのためです。
2-1.動詞の否定=文全体の否定
neverもまたnotと同じように文全体を否定することができます。
neverの位置とそれに対応する例文は以下の通りです。
- He is never spoken to. 彼は決して話しかけられない。
- He never do his homework. 彼は決して宿題をしません。
1度宿題をやってこなかったというわけではなく、ずっと宿題をやってこないことを意味します。
- He will never come home again. 彼は二度と帰ってこないだろう。
2-2.語・句・節の否定=文の一部の否定
not同様、neverは文の一部を否定することもできます。
- He commanded us never to chase enemies too far. 彼は決して敵を深追いするなと私達に命じた。
例文では、neverが不定詞to chase enemies too farを否定しています。
3.no
3-1.no + 名詞:1人(1つ)も~ない
- There were no students in the classroom. 教室には1人も生徒がいなかった。
noの後に続く名詞は可算名詞、不可算名詞どちらも可能です。可算名詞のうち、単数形を用いるか、複数形を用いるか、については、どちらを想定するのかによります。例えば、先の例文では「通常教室には複数の生徒がいる」ということが想定されるので複数形を用いています。
3-2.be動詞 + no + (形容詞) + 名詞:決して~ではない
- He is no active. 彼は決して活動的ではない。(それどころか怠惰だ)
noはnotよりも強い否定を表し、決して〜ではない(それどころか〜の真逆と言えるくらいだ)という意味になります。
例文においても活動的ではないどころか、その真逆の怠惰であるくらいだといったニュアンスになっていることに注意してください。
4.準否定語
準否定語はnotやnever、noのように文や語句を完全に否定するわけではありませんが、程度・頻度・数量が低い、あるいは少ないことを表します、
4-1.程度:hardly/scarcely「ほとんど~ない」
- I could hardly understood what you said. 私はあなたの言ったことがほとんど理解できなかった。
副詞hardlyによって、理解の程度が低いことが表現されています。
4-2.頻度:seldom/rarely「めったに~ない」
- I seldom go to the park. 私はめったにその公園に行かない。
副詞seldomによって、その公園に行く頻度が低いことが表現されています。
紹介したこれら4つの副詞の位置は以下の通りです。
- 一般動詞:前
- be動詞:後
- 助動詞:後
4-3.数量:few/little「ほとんど~ない」
- There were few people in the park. その公園にはほとんど人がいなかった。
- There is little water in the bottle. そのビンにはほとんど水が入っていなかった。
形容詞fewによって数、littleによって量が少ないことが表現されています。fewは可算名詞、littleは不可算名詞の前に置かれます。
5.部分否定と全否定
- I don’t read all of the books which she wrote. 私は彼女が書いた本を全部読んだわけではない。
- I don’t read any of the books which she wrote. 私は彼女が書いた本を全部読んでいない。
1の例文のように全部~というわけではないという意味になるものが部分否定、2の例文のように全部~でないという意味になるものが全否定です。
5-1.部分否定の表現リスト
5-2.全否定の表現リスト
補足ですが、all~notの語順では部分否定なのか全否定なのかが曖昧になります。したがって部分否定では、部分否定としての意味がはっきりするnot~allの語順をおすすめします。
6.二重否定
否定を否定することで肯定の意味になるのが二重否定です。
- I never read the novel without crying. 私は涙なしでその小説を読むことは決してない。→私はその小説を読めば必ず涙する。
例文はnever…without〜 〜なしで…することは決してない→…すれば必ず〜するという二重否定を用いたものです。
- There is no kanji which he doesn’t know. 彼が知らない漢字など存在しない。
kanjiという名詞をnoが否定しており(漢字が存在しない)、またkanjiを修飾する関係詞節内でも否定している(彼が知らない漢字)ことから、二重否定と言えます。
否定の重要表現については以下の記事で解説しました。