英文解釈とはSVOCやカッコを書き込みながら英文の構造を明らかにする道具ですが、「英文解釈はいらない」と言う人もいます。もちろん中学生やそれほど難しい英文を読まない人には英文解釈は不要です。
しかし、高校生や大学受験生に限って言えば、英文解釈を勉強する意味は大いにあります。むしろ高校英語では英文解釈を勉強しないと読めない英文だらけになるでしょう。
なぜなら高校英語、大学受験で出題される英文の構造は単純ではないからです。英文解釈なしで読もうとすると、「なんとなくこんな意味かな……」とはっきりとした根拠を持って読解することはできません。
難しい長文問題では国語の現代文で出題されるような内容ということもあるので、「なんとなく」で読んでいたらどんどん意味がわからなくなります。正確に英文を理解するために英文解釈をしっかり勉強していきましょう。
1.そもそも英文解釈とは?
英文解釈とは英文の構造を把握するための道具のことです。
- He plays soccer. 彼はサッカーをする。
例えば、この例文では主語がHe、動詞がplays、目的語がsoccerとなっています。なぜこのように構造がわかるのか、ポイントは動詞です。
動詞playは目的語をとるのでplayの後に続く名詞は目的語です。そして英語の文型は5つしかなく、この時点でSVO(主語 + 動詞 + 目的語)とわかります。
このように構造を把握することで「誰が(主語)」「何を(目的語)」「する(動詞)」が理解できます。
- Tom kicked Andy. トムはアンディーを蹴った。
この例文でも先程と同様、動詞kickは目的語をとるため直後の名詞Andyは目的語です。したがってSVOと判断できます。
- He plays soccer.
であればサッカーが彼をすると訳すことは常識的にありませんが、
- Tom kicked Andy.
だとアンディーはトムを蹴ったと訳しても意味としては通ります。それでもこの訳にならないのはOVSという文型が存在しないからです。
SVO以外ありえないから、訳は必ずトムはアンディーを蹴ったとなります。
英語の文型は日本語の助詞「が」や「を」と同じで「誰が何をするのか」を表す役割を持つのです。
- I’ll meet the author who wrote this book. この本を書いた著者に私は会う予定だ。
英文の読解では文型に加えて「何が何を修飾しているのか」も考えなくてはなりません。ここでは関係詞節who wrote this bookがthe authorを修飾しています。
- 誰が何をするのか(文型)
- 何が何を修飾しているのか(修飾)
まとめると英文解釈によって「文型」と「修飾」という構造を把握することで、論理的に英文が読めるようになります。
今回紹介した例文であれば「英文解釈なんて勉強しなくても読める」と思う人も多いでしょうが、「文型」と「修飾」がより複雑になった難しい英文になると途端に読めなくなります。しかし英文解釈を勉強しておけば、「文型」も「修飾」も「あのパターンだ!」と一定のパターンに落とし込めるので読解できるわけです。
このように英文解釈は英語を正しく理解するための道具です。無駄だと思わず勉強しましょう。
2.英文解釈はどのように勉強するべきか?
「いざ英文解釈を勉強しよう!」とやる気が出ても、その勉強法がわからなければどうしようもありません。そこで「英文解釈をどのように勉強していくか」について解説します。
英文解釈を全く勉強したことがない人は「入門英文解釈の技術70」をやりこみましょう。英文解釈の技術シリーズの中で最も易しい参考書ですが、長文読解のための英文解釈であれば「入門英文解釈の技術70」で十分です。
ただし難しい英文和訳が出題される場合はよりレベルの高い英文解釈の参考書にも取り組んでください。
3.英文解釈を長文読解に活かすには?
「入門英文解釈の技術70」をマスターしたら、長文問題集や過去問を解いていきましょう。
この時、構造を意識しながらも英文解釈は書き込まないで読解してください。これにより実際の試験時間でも対応できる読解のスピードが獲得できます。
「せっかく英文解釈を勉強したのに使わないなら意味がない」と思うかもしれませんが、英文解釈を書き込まないだけであって使わないわけではありません。根底に英文解釈の考えがあるからこそ構造を把握できるのです。
ただしわからない英文が出てきたらメモをしておいて、丸付けの際に丁寧に英文解釈をし、自分の中に文構造のパターンをたくさん叩き込んでください。
まとめ
英文解釈は勉強する意味がないと感じるかもしれません。しかし英文のレベルが上がるにつれて構造が複雑になり、英文解釈を知らないと英文が読めなくなります。
高校生、大学受験生、難しい英文も読めるようになりたい人は是非英文解釈に取り組んでください。
また英文解釈ができるようになったら、英文解釈を書き込まずにたくさんの長文問題集や過去問を解き、読解のスピードを上げていきましょう。