冠詞には総称用法というものがあります。総称用法とは「種全体について語る用法」のことです。例を見てみましょう。
- Zebras are herbivores.(無冠詞 + 複数形)
- The zebra is a herbivore.(定冠詞 + 単数形)
- A zebra is a herbivore.(不定冠詞 + 単数形)
これら3つの文はニュアンスは違えど、全てシマウマは草食動物です。を意味する「シマウマという種全体」に言及した文です。
それぞれの総称用法について細かく見ていきましょう。
無冠詞 + 複数形
- Zebras are herbivores.
「無冠詞 + 複数形」のこの形が3つの中で最も一般的な記述方法です。「シマウマという種全体」をZebrasで表しています。
定冠詞 + 単数形
- The zebra is a herbivore.
「定冠詞 + 単数形」は他の2つに比べて、抽象的な印象を持ち書き言葉で使われます。イメージとしては「シマウマという種を1つにまとめ上げて語る」というものです。
これは「○○家」と似ている考えです。例えば、田中家と英語で言う場合、
- the Tanakas
のように「定冠詞 + 苗字 + s」で表します。この時の定冠詞theの働きが「田中家という家族の一員を1つにまとめ上げて語る」もので、The zebraの定冠詞Theと同じ役割を果たしています。
不定冠詞 + 単数形
- A zebra is a herbivore.
「不定冠詞 + 単数形」では数あるシマウマの中からランダムに1匹を選び取って語ります。「ランダムに選んだこのシマウマが草食動物なんだから、そのシマウマもあのシマウマも草食動物だろう。ということは他のシマウマも全部草食動物だ」というイメージです。
他の形とは異なり、この「不定冠詞 + 単数形」だけ1匹を取り上げて語るので、1匹について成り立たないような話では「不定冠詞 + 単数形」は使えません。
例えば、シマウマは絶滅しつつある。という意味の文で、
- Zebras are becoming extinct.
- The zebra is becoming extinct.
これら2つの文は問題ありませんが、
- A zebra is becoming extinct.
といった書き方はできません。これはある1匹のシマウマに対して「絶滅しつつある」と言えないからです。目の前のシマウマに対して「あ! このシマウマ、絶滅しつつある!」なんて言わないですよね。
このように1匹に限定して語ると意味がおかしくなる場合、A zebraのような「不定冠詞 + 単数形」は使えないので注意しましょう。
「The zebraは単数なんだから、The zebra is becoming extinct. も間違いではないのか?」と思われるかもしれませんが、このtheは「シマウマという種を1つにまとめ上げて語る」ものです。
the Tanakasのように「田中家」で見れば「1つの概念」でもその構成メンバーは複数いるわけです。つまり、見た目が単数なだけで中身は複数であるため、The zebra is becoming extinct. は間違いではありません。
まとめ
今回は冠詞の総称用法について解説しました。
- Zebras are herbivores.(無冠詞 + 複数形)
- The zebra is a herbivore.(定冠詞 + 単数形)
- A zebra is a herbivore.(不定冠詞 + 単数形)
総称用法には以上の3つの形があります。
- 「無冠詞 + 複数形」が最も一般的
- 「定冠詞 + 単数形」は抽象的な印象があり、書き言葉で使われる
- 「不定冠詞 + 単数形」は1つに限定して語ると意味がおかしくなる場合は使えない
それぞれの特徴は以上の通りです。
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