冠詞(かんし)には定冠詞(ていかんし)、不定冠詞(ふていかんし)、無冠詞(むかんし)の3種類があります。
定冠詞はthe、不定冠詞はa[an]、無冠詞は冠詞がつかないことです。
3種類の冠詞にはそれぞれ細かい用法や使い分け、どのような名詞と一緒に使われるのか、など複雑なテーマが盛りだくさんですが、今回は3種類の冠詞の基本的なイメージについて解説していきます。
「そもそも冠詞ってどういう役割があるの?」「定冠詞・不定冠詞・無冠詞の違いがわからない」といった疑問がある人は是非参考にしてください。
1.定冠詞と不定冠詞の違い
日本語にはない品詞なので、何のために冠詞があるのかわからないという人もいると思います。冠詞の基本的な役割として必ず理解しておきたいのが以下のルールです。
特定とはその場にいる人々(話し手と聞き手)が「それ!」とわかることです。
- He has a dog. The dog is called Pochi. 彼は犬を飼っています。その犬はポチと呼ばれています。
例文ではa dogとthe dog、合計2回dogという単語が現れています。1回目のdogには不定冠詞aが付いていますが、2回目のdogには定冠詞theが付いています。
1回目にa dogと出てきているので、話の流れから1回目のdogと2回目のdogは同じdogであると理解できます。したがって、その場にいる話し手も聞き手も2回目に出てきたdogがどのdogなのかわかるので、the dogというように定冠詞theを付けるのです。
このように皆が「それ!」とわかることを特定と言い、この場合定冠詞theを用います。
一方で、特定できない名詞に対しては不定冠詞a[an]が付きます。先程の例文で、1回目のdogに不定冠詞aが付いていました。
これはまだ最初のdogの登場で「どのdogであるのか」を聞き手がわかっていないからです。
仮にここで定冠詞theを用いて話し手が「その犬」と言っても、聞き手としては「え? その犬ってどの犬?」となり困惑してしまうでしょう。
このように話し手も聞き手も「何を指しているのか」理解している状態でなければ定冠詞theは使うことができず、代わりに不定冠詞a[an]を用います。
以上のことをまとめると以下のようになります。
定冠詞theは特定できる名詞に付く
不定冠詞a[an]は特定できない名詞に付く
2.不定冠詞と無冠詞の違い
- an egg
- egg
突然ですがan eggとeggの違いについて答えられるでしょうか。どちらも卵であることには変わりませんが決定的な違いがあります。
an eggには形があって、eggには形がないのです。
an eggとは殻を割る前の卵のように具体的な形を持った1つの卵です。一方で、eggとは殻を割ると出てくる黄身と白身のような液体で具体的な形のない卵のことです。
このeggの使い分けから、不定冠詞が付くと1つの具体的な形を持ち、無冠詞だと具体的な形のないものになるとわかります。
だから実際に形のないもの(液体や抽象的な概念)などは無冠詞なのです。coffeeなどの液体は元々形がないので無冠詞ですが、例えばa cup of coffeeのように入れ物を用意すると形があるので不定冠詞をcupに付けることができるようになります。
importanceのような概念も実際に形があるわけではありません。したがってこれも不定冠詞を付けることは基本的に不可能です。
ここまでのことを以下にまとめました。
不定冠詞が付くと1つの具体的な形を持つ
無冠詞だと具体的な形がない
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